シベリア孤児子孫代表、ルーカス・グラボフスキ氏ご挨拶

在ポーランド日本国大使閣下、福田会の皆様、シベリア孤児の子孫の皆様、すべてのご来賓の皆様

私自身とヤンコフスキー家、そしてシベリア孤児の子孫を代表して、大使閣下によるシベリア孤児子孫の集いのご開催とご招待に、感謝申し上げます。
時が流れても、ポーランドの子どもたちに手を差し伸べた日本の寛大さの記憶がいまだに強く残っており、
新しい世代にインスピレーションを与えていることを、嬉しく思います。

兵藤長雄大使閣下は在任中に「シベリア孤児の美しい物語を現代にもっと広く伝えてほしい」と語り、
1997年に初めてシベリア孤児を大使公邸にお招きになりました。
さらに2001年には、上田秀明大使閣下にお招き頂きました。
私たちは、この美しい伝統を育み続け、兵藤大使閣下の夢を実現するために、今日という日に再び一堂に会することが出来ました。

これは、最近になってようやく家族のルーツを再発見した私の世代にとって、非常に重要なことです。
私は2018年の日本滞在中に、日本政府の協力で救出された曾祖父の運命を知ったばかりです。
ですが、1920~22年の出来事の記憶を語り継ぐために何百人もの人々や在ポーランド日本国大使館が活動していなければ、
この事実を私が知ることはなかったと思います。
大使閣下に改めまして感謝申し上げます。

福田会の皆様!

2021年7月にポーランド大統領が東京の福田会を公式訪問し、「皆様をポーランドでお待ちしています。」と発言しました。
そして、こうして今回、皆様がポーランドにお越し下さったことを、私は非常に嬉しく思います。
福田会は、シベリア孤児の歴史が常に時代を超えて大変重要なものであることを示す、生きた事例です。
100年前に、利他精神でポーランドの子どもたちを助けたように、今日、その善良な心で福田会はウクライナにおける戦争の犠牲者を支援しています。
ポーランドで皆様をお迎えできたことを、心より嬉しく思っています。

救出された孤児の子孫である私たちにとって、シベリア孤児の記憶は、私たち家族の過去を知るだけでなく、私たちの未来を形作るものでもあるのです。
それらは自己犠牲、無私の助けについて教えてくれ、慈悲は尊いものであり、実を結ばない事は無いのだ、という信念を与えてくれるのです。
この歴史の普及に尽力された大使閣下にも今一度、感謝申し上げます。

今日の会合が、私たちの家族と祖国の歴史を学ぶ上でできるだけ実り多いものとなり、
この時代に必要とされている、他者を助けたいという気持ちと善意への信頼を私たちの中に再び呼び起こすものとなることを、祈念しております。
ありがとうございます。