記念切手原画展
オンラインギャラリー

展覧会概要

⽇本・ポーランド国交樹立100周年を機に、ポーランド郵政局は2019年9⽉に「福⽥会 −希望の家(Fukudenkai−dom nadziei)」と題した記念切⼿セットを発⾏しました。このセットには、切⼿1枚、郵便葉書3枚と記念封筒1枚が入っています。
記念切⼿セットの発⾏は、ヴロツワフ美術大学 (Akademia Sztuk Pięknych im. Eugeniusza Gepperta we Wrocławiu)の芸術学・渉外担当副学長 (在任 2016年〜2020年)の、アレクサンドラ・ヤニク(Aleksandra Janik)氏の発案によって⾏われました。ヤニク副学長 は、⽇々グラフィック・アートに携わるとともに、長年にわたり仕事とプライベートの両方で日本とかかわっており、その中で日本の豊かな歴史や文化に着目するようになりました。

ポーランド郵政局は、ヤニク副学長の「国交樹立100周年を記念した切⼿を発⾏したい」という考えに賛同したのみならず、その題材として「社会福祉法人福田会」を扱うことを提案しました。記念切⼿は通常、郵便局と提携しているグラフィックデザイナーにより制作されますが、デザイナーであり教育者でもあるヤニク副学長からの申し出により、今回は美術大学の学⽣たちが切⼿のデザインにあたることになりました。

こうして、グラフィック・メディアデザイン学科の学生たちを対象にコンクールを開催し、37名の学⽣が参加しました。彼らは、同学科の教員、ミハウ・マトシュコ氏、アンジェイ・モチドウォフスキ氏、グジェゴシュ・オソフスキ氏の指導の下、デザインを制作しました。
コンクールの参加学生にとって、これは⼀つには専攻の枠内での独創的な課題でしたが、同時に、⽇本および⽇本・ポーランドについての知識を深める、絶好の機会でもありました。まずは、福田会の理念と歴史を結ぶことから始まり、同施設のポーランドとのつながりと、その重要性についても学ぶこととなりました。前述のような学びが、それぞれの作品に反映されています。

今回の事業から得られた経験は、当大学がや学⽣・教職員交流を執り⾏うなかで長年協働している、日本の国際交流協定校との今後の共同事業において、とりわけ貴重なものとなりました。学⽣らによる約70点の作品は、日本とポーランドの関係全般に言及するだけでなく、両国関係において福田会に特に重点を置いているように⾒受けられました。

応募総数と作品の多様さがコンクール責任者の予想を⼤きく上回ったため、当大学と郵政局の代表から構成される審査員は、1点ではなく、4点の作品に賞を贈ることとしました。その結果、ヴィクトリア・コステルスカが制作した最優秀デザインは、郵便切⼿として18万発⾏されるという栄誉に輝きました。次点となったカツペル・マラガ、ズザンナ・オルクスカ、イザベラ・ポグヴィズトの作品は、郵便葉書として各200枚発⾏され、ポーランド国の⼀部の郵趣売店で販売されました。さらに、ズザンナ・オルクスカのデザインは記念封筒にも採⽤され、1500枚発⾏されました。数量限定の記念切⼿セットは、2019年9⽉30⽇に販売が開始され、⼤きな注目を集めました。

ヴロツワフ美術⼤学の学⽣・教職員にとって、今回の企画は、創作・精神⾯における貴重な経験でした。意識を深め、歴史についての知識の幅を広げ、日本にいる私たちの同志・友人たちへの尊敬を深めるきっかけになりました。これは多くの関係者にとって、「桜の咲く国」日本に関連した初めての企画でしたが、必ず今後も継続していくと信じています。福⽥会によって救済されたポーランドの子どもたちの物語は、長い間記憶に残ることでしょう。

コンテスト入賞作品

ポーランド郵便から同デザインの記念切手が発売されました
作品の意味

日の昇る国=希望を表すシンボルとして背景に日本国旗が用いられている。
手前には幸せを運ぶ鳥としてポーランドで有名なコウノトリが、日本の伝統である折り紙で折られたようにデザインされている。

作者:ヴィクトリア・コステルスカ

ヴロツワフ美術大学グラフィック専攻の学部3年生。コンピュータグラフィック、グラフィックアート、絵画、写真も学ぶ。入学以前は、建築物デザインに強い興味を持ち学び進めていたが、次第に、技術的および物理的制限のないクリエイティブな芸術表現を望むようになった。この時期から、完璧、忍耐力、謙虚さを追求し始める。。そして大学入学と同時に、写真・グラフィックへの興味と関心を高めていった。ヴロツワフでのグループ展「Emigracja(移住)」に写真を、ブジェクでの作品展「The Beginning(始まり)」にデッサンと絵を出品。人々や彼らの生い立ち、感情からインスピレーションを得て、その相互作用を創作過程に取り入れている。同時に、旅、自然の静けさ、すべての生物の生命活動に触発されて創作を行っている。

コンテスト入選作品

作者:カツペル・マラガ

1998年生まれ。ヴロツワフ美術大学にてグラフィックを専攻している。タイポグラフィとレタリングに情熱を注ぐ。社会や政治に関する作品を制作することを好む。既存のコミュニケーション手段や芸術スタイルの型を破りたいと考え、創作活動に取り組んでいる。未来主義思想、社会運動、心理学からインスピレーションを得ている。

作者:イザベラ・ポグヴィズド

ポーランドのノヴィ・ソンチ在住。独学で芸術を学んでいたが、ヴロツワフ美術大学入学後、より多くの芸術分野を学んだ。 グラフィックデザイン専攻を卒業。 伝統的芸術とリアリズムを最重要視しながらも、デジタルイラストも行っている。 ファンタジーと自然を愛し、マーカーとインクを使って魔物やエルフ、魔女などを頻繁に描いている。
また、幼少期からアジア文化にも興味を持つ。 そのため、リアリズムやセミリアリズムだけでなく、アジアの伝統的な絵画からインスピレーションを得た作品を制作することもある。

作者:ズザンナ・オルクスカ

1996年生まれ。イラストレーター兼グラフィックデザイナー。 2015年から2020年にかけて、ヴロツワフ美術大学のグラフィックおよびメディアアート学部で学ぶ。 数々のグラフィックコンぺで受賞。 ポスターやパッケージ、テキスタイルのデザインのほか、記事(or文章)の挿絵も制作している。グラフィックデザイン以外にも、グラフィックアートや絵画創作も行っている。自身の周りの世界を見つめながら、自然からインスピレーションを得て創作を行っている。

選出された3作品はそれぞれ、ポストカードの絵柄となりポーランド郵便から記念に発売されました。

コンテスト応募作品