11月3日にリニューアルオープンを遂げた、人道の港敦賀ムゼウム。

今回は、同施設館長の西川明徳氏にリニューアルのポイントや、より充実したシベリア孤児関連資料について、教えていただきました!

ーリニューアルで建物も新築され、広さも大幅に拡大したと伺っています。
どの程度の時間をかけ、どのようなリニューアルを行ったのか、教えてください。

2008年3月にオープンした旧「人道の港敦賀ムゼウム」ですが、特に2015年頃から来館者が大きく伸びたこと等を受け、2017年度には移転拡充に関する検討が本格的に始まりました。
その後、ムゼウムが立地するエリアの施設整備に関する基本計画が2018年6月に策定され、2019年度末に、ポーランド孤児やユダヤ難民が上陸した頃に並び立っていた敦賀港駅や税関等の4棟の建物を復元した、新たな「人道の港敦賀ムゼウム」が竣工しました。
リニューアルに当たっては、研修室や企画展示室を新たに整備するとともに、若年層にも分かりやすい展示とするためのアニメーションを導入しました。
また、展示内容充実のために関係者からご提供いただいた新史料についても、複製品やデジタルデータとして閲覧いただけるように工夫しました。

ーこのような大規模なリニューアルにあたって、館長としてどのような想いを抱いていらっしゃいますか?

改めて振り返ってみると、本当に多くの関係者の方々に多大なるご協力をいただきましたので、まずは皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです。
平和教育の啓発や観光の振興等といった設置目的に沿って、今後も職員一丸となって取り組み、より多くの方々に愛される、魅力的な施設となることが「恩返し」に繋がると考えています。

また、特に敦賀の若い世代には施設を見に来ていただくことはもちろんのこと、ふるさとの歴史について自信を持って発信していただけるようになっていただきたいと思っていますので、そのための場としてどんどん活用していただければ幸いです。

ーオープニングセレモニーに参加された方からは、どのような感想が寄せられましたか?

皆さんから好意的なご感想をいただきました。
分断状態にある世界情勢であるからこそ、ムゼウムが発信する「命の大切さ」や「平和の尊さ」といったメッセージの重要性が高まっているのではないでしょうか。

100年前のポーランド孤児や、80年前のユダヤ難民に関するエピソードですが、そこから一人ひとりが何をつかみ取るかが問われているように思われます。

リニューアルオープンセレモニーの様子

ーシベリア孤児関連ブースについてさらにお伺いします。
リニューアル後の同ブースの見所や特に工夫を行った点には何が挙げられるでしょうか?

まず、旧ムゼウムではほとんど語られていなかった、ポーランドへ帰国した後の孤児たちのエピソードを充実する点にこだわりました。
また、ポーランド在住のジャーナリスト松本照男さんとヴィエスワフ・タイス教授が長年の研究において収集された貴重な史料をムゼウムリニューアルに合わせて多数ご寄贈いただきましたので、
これらの一部を新史料として展示に活用させていただきました。

未公開のものについても今後、調査研究を進め、順次、皆さんにご覧いただけるように進めていきたいと考えています。

映像を使用した分かりやすい展示
寄贈された新史料の展示

更に、社会福祉法人福田会様からご寄贈いただいた、孤児の集合写真をモチーフとした陶板レリーフも、その精巧なつくりから、孤児たちの表情がとてもよく見て取れる素敵な展示品となっていますので、是非じっくりご覧いただきたいと思います。

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敦賀人道の港ムゼウム
〒914-0072 福井県敦賀市金ケ崎町23-1
TEL 0770-37-1035 FAX 0770-37-1036

開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:
水曜日(祝日の場合はその翌日)
年末年始(12月30日~1月2日)
入場料:
一般大人500円/人、一般小学生以下300円/人
団体大人400円/人、団体小学生以下240円/人
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