大阪:390人の子どもたちが過ごした地
ウラジオストクから日本に救出されたシベリア孤児の道のりを辿るシリーズ。
敦賀に降り立った子どもたちが療養のために向かった場所は、東京だけではありませんでした。
第3弾では、390人の子どもたちが暮らしていた大阪についてご紹介します。
大阪は1400年の歴史を持ち、長い間海外からの玄関口としての役割を果たしてきました。
江戸時代には「天下の台所」と呼ばれ、物流の拠点でもあった大阪。
今日でも、日本第二の都市として活気に溢れています。
大阪市立公民病院看護婦寄宿舎
1922年(大正11年)にポーランド孤児ら(男207人・女183人・付添39人)が、大阪市立公民病院看護寄宿舎にやってきました。
この寄宿舎は東成郡天王寺村(現・大阪市阿倍野区旭町)にありました。
日赤本社大阪支部病院から医師と看護婦が派遣され、体調の優れない子どもたちは手当を受けました。
大阪城
子どもたちは滞在中に大阪城を見学しました。
大坂城は天下統一をめざす豊臣秀吉によって天正11(1583)年、大坂(石山)本願寺跡で築造が開始されました。
城の本丸のなかで最も中心的な建物である天守閣はその2年後に完成しましたが、
元和元(1615)年の大坂夏の陣で、豊臣氏の滅亡とともに天守閣も焼失しました。
徳川時代になって再建されたものの寛文5(1665)年、
落雷によって再び焼失しました。
以来、大坂城は天守閣のないままでした。
ポーランドの子どもたちも天守閣のない大阪城をみたことでしょう。ちなみに天守閣は昭和6年に復元され、今ではその8階から大阪の景色を一望できます。
天王寺動物園
天王寺動物園は、1915年1月に日本で3番目の動物園として開業しました。
約11ヘクタールの園内では、ライオンやチンパンジーをはじめ、
天王寺動物園でしか見ることのできないニュージーランドのキウイ、特徴的な黒毛のドリルなど、
200種類1,000頭の動物が飼育されています。
動物たちの自然環境を忠実に再現しているだけでなく生態系の展示も行われており、
動物たちの生き方を紹介しています。
ポーランドの子どもたちも当時の園長のはからいで象の背中に乗せてもらった、との記録が残っています。
初めてみる象に、ポーランドの子どもたちは大感激だったそうです。
参考:
https://osaka-info.jp/page/osaka-castle-main-keep
https://osaka-info.jp/en/page/osaka-tennoji-zoo